sageszk's blog

笑顔とプリズムの煌めきを追い求めるブログ

漫画やアニメにおけるキャラクターの転機の描き方が気になった

 最近1ヶ月ぐらい何かを書こう、書こうと思いつつ夢のなかで妄想膨らませて終わっていたのですが、授業で話のネタになりそうな題材を扱っていたのでご紹介します。

 授業をざっくり説明すると、情報社会におけるキャリアデザインを考える授業で、自分はその授業のアシスタントで働いています。流れとしては情報社会の事例とキャリアデザインに関することとを2〜3コマずつ交互に繰り返して展開される授業なのですが、今回はキャリアデザインに関するものでした。1回の授業内で講義と演習をどちらも行い、Twitterでフィードバックも行う双方向性の高い授業なので毎回の演習で学生が発言する意見が楽しみだったりするわけですが、ここで取り上げるのは演習で行った「ドラマや映画、漫画などの物語の登場人物にどのような転機があったか」というもの。そこで、最近色々とアニメを観ているので何か例がないかなあと考えてみるに至ったのでした。

 授業で事例として挙げられたのは、『魔女の宅急便』の主人公キキがホウキで空を飛べなくなるというスランプを抱えて、人との出会いを経て克服するというU字型のモデル。ストーリー上でキャラクターの動きを追うと「あることが出来る状態」→「スランプに陥る」→「出来るようになる」という3つの状態を移行しますが、授業で取り扱ったブリッジズの『トランジション』という本では「終わり(終焉)」→「中立(ニュートラル)」→「始まり(開始)」という状態の移行を示しています。この中立状態では無理して移行すべきではない、中立状態を楽しむのだ、などなどあるのですが、要するにこのU字型モデルの大喜利がやりたかったわけです。

転機の起きやすいスポーツジャンル

 とりあえずわかりやすく転機が訪れて状態が変わるジャンルとしてスポーツがあります。庶民シュートすら決まらなかった不良バスケ漫画や、弟の死が否応なしに転機となった双子野球漫画など、わかりやすい事例が多そうです。中学時代に一度戦ってライバルだと思っていた相手と同じチームになるバレー漫画や、通学路でたまたま競走になったことがきっかけで自転車競技を始めることになったロードレース漫画など、最近の作品でもヒットするものは主人公の転機がハッキリしていて、さらにサブキャラクターたちも転機がちゃんと描かれています。

 特に『弱虫ペダル』では、ウサギを轢き殺してしまった新開さんがトラウマとして転機を迎えていたり、福富さんがインターハイで金城さんを引っ張ってしまったことを1年間心に抱えていたりと中立期間がちゃんと描かれている点が特徴的です。ハコガクだけ何故そんなに闇を抱えていたのかわかりませんが、物語上ライバルに属する高校にこういうキャラクター付けをしているのは気になりますね。例に挙げた2人とも特に無理矢理に克服しようとせず、時が来たときに解決し成長しているのはトランジションモデルに合致しているように見えます。

 スポーツだけでなく、部活系全般、音楽やアイドル系なども似たような感じに描かれていそうですが長くなりそうなのでアイカツ!、じゃなくて割愛。

まとめ(まとめるとは言ってない)

 アニメなり映画なり何なりを評価する時、他の人はどういう視点で評価しているのか? という疑問がずっとあったので、そのうちの1種として転機というものもあるよね、というところが落とし所でしょうか。監督や制作会社、声優などの作り手が絶対の人もいれば、ロボットやスポーツ、ラブコメや日常系などジャンルで高評価の人もいるでしょう。売上や実況の伸びといったリアクションが基準の人もいれば、曲がよければ全て良しの人もいるはずです。その中の一つに、いい転機の描き方みたいなものが加わってもいいのかな、と思ったのでした。

 ちなみに、今日その視点を意識し始めたので最高の転機を描いた作品は何なのかというのは見つかっておりません。

トランジション ――人生の転機を活かすために (フェニックスシリーズ)

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